本日公開されました。エディオンアリーナ大阪で行われたIWGPヘビー級選手権試合*1です。
こちらが煽りVです。
前回と同じく、煽りVから直接試合動画に飛んでもらって構いません。記事最下部にリンクを貼っておきます。
本日より1週間限定公開という部分も変わっていないので、お早めにご覧下さい。
2月のタイトルマッチの意味
新日本プロレスは一年中大会を開催しています。月に1回ほどビッグマッチを行い、その大会へ向けた小規模大会を数週間かけて行います。「シリーズ」と呼ばれるものですね。
そのシリーズの中でも最も重要であり、動員規模・会場規模共に最大を誇るのが、1.4に行われる『レッスルキングダム』という大会です。
年間行われる全てのシリーズ(ビッグマッチも含む)は、レッスルキングダムに向けての「前哨戦」とも言える位置付けで、開催は年明けですが、レッスルキングダムが1年の集大成の大会となっています。
レッスルキングダムのメインイベントこそが、全ての新日本プロレスのレスラーの目指す頂きであり、そのメインイベントはほぼIWGPヘビー級選手権試合となっています。
ここで勝った選手がこそが「新日本プロレスのトップ」であり、1.5から始まる新年のシリーズをチャンピオンとして迎えることとなります。
今回の試合は『ニュービギニング』と呼ばれるシリーズで、そのビッグマッチのメインイベントでした。
ニュービギニングはレッスルキングダムの次のシリーズであり、ここでもし負けると、防衛0でベルトを落とすことになります。
せっかくレッスルキングダムのメインイベントで華々しくベルトを戴冠(防衛)したとしても、1ヶ月後には無冠になってしまうのが、プロレスの恐ろしい所でもあり、魅力でもあります。
チャンピオンとしては絶対に負けられない、負けられないタイトルマッチが、ニュービギニングというシリーズになります。
煽りVでも語られていましたが、棚橋選手はニュービギニングと相性が悪いです。
2012年のニュービギニングで『レインメーカーショック』と呼ばれる歴史的敗北を喫してから、2015年のAJスタイルズ選手、2016年のケニー・オメガ選手、2017年のロスインゴとの6人タッグマッチと全てで勝利を掴むに至らず、2018年に至っては鈴木みのる選手とのタイトルマッチで敗北し、長期欠場を被ることに。
不吉なジンクスを背負ってしまった棚橋選手。ベルトを守ることはもちろん、ジンクスを跳ね返すためにも絶対に勝たなければいけない試合です。
傷だらけのエース
煽りV冒頭で紹介されていた、2018.1.4の対ケニー・オメガ戦というのは非常に重要な一戦で。
棚橋選手にとっても、という意味でもですが、新日本プロレスにとっても分水嶺でした。
新日本プロレスを新たな時代へ導こうとするケニー・オメガ選手と、新日本プロレスの歴史を重んじ守ろうとする棚橋弘至選手。
「新日本プロレスは今後どちらの道を行くのか」
ファンの間でも真っ二つに意見の割れた、新日本プロレスという団体の行く末を占う一戦でした。
そのイデオロギー闘争を制した棚橋選手ですが、
ケニー選手の言い分にも一理ありました。
「棚橋はもうトップではない」
「ファンが送っているのは声援ではなく、無事に試合を終えて帰ってくるかという心配の声だ」
「その椅子を明け渡し、バトルロイヤルにでも出ていろ」
その言葉は辛辣ですが、言いたいことはわからないでもありません。
棚橋弘至。自他共認める新日本プロレスのエースであり、暗黒期を支えた功労者です。
IWGPヘビー級の最多防衛記録を保持していたこともあり、選手層の厚い新日本プロレスの中でも、トップ選手の一人であることは疑う余地はありません。
しかし長年の激闘により身体はボロボロ。2007年に半月板の除去手術を行い、左右の靭帯はいくつも切れたまま。関節変形症を患い、一時は歩行が困難になるほど悪化したそうです。
本来膝を支えるはずの靭帯は無く、骨同士が擦れないようにする軟骨はすり減り、完治はしないそうです。
膝の処置をし、痛み止めを打ってリングに上がる棚橋選手ですが、見るからにコンディションは全盛期より劣ります。
それでも棚橋選手がエースであり、新日本プロレスの太陽であることは誰もが認めるところではあるんですが。
必殺技であるハイフライフローも膝を強く打つ技。空を舞う棚橋選手を見たいと思う気持ちと、心配する気持ち。両方あると言うのがファンの正直な所でしょう。
そんな棚橋選手が魅せるクラシカルなプロレスは、飛んだり跳ねたりの派手なアスリートプロレスとは真逆をいくスタイルでありながら、日本のプロレスの真髄とも言えるスタイルだと思います。
クラシカルスタイルの天才
そんな棚橋選手に挑むは、若干26歳で新日本プロレスのトップレスラーとなったジェイ・ホワイト選手。
母国ニュージーランドから単身日本へやってきて、たった一人で登りつめた男です。
オカダ・カズチカ選手と同じ『CHAOS』というユニットに所属していましたが、同じくCHAOSに所属していた外道選手にその才能を見出され、オカダ選手を裏切ります。
その後『バレットクラブ』という外国人選手がメインに所属しているヒールユニットの4代目リーダーとなり、頭角を現していきます。
ヒールユニットのリーダーらしく、外道選手の乱入や凶器攻撃、勝つためにはあらゆる手段を用いる狡猾さが目立ちます。
しかし試合スタイル自体は非常にクラシカルで、「棚橋弘至がヒールだったらこんな選手になっていただろう」とファンの間で呼ばれることもあります。
アスリートプロレス全盛期であり、空中殺法ができて当たり前の時代に、コーナーにすら登らないジェイ選手。非常に好感が持てます。
誰もが認める試合運び、プロレスセンス、技の完成度。若くして「100年に一人の逸材 棚橋弘至」と並び称される才能は末恐ろしくさえあります。
42歳のチャラ男と26歳のベビーフェイス
「プロレスにチャラさを持ち込んだのは俺」とは棚橋選手談ですが、今は昔と違い、イケメンプロレスラーは珍しくありません。
黒パンツにいかついおじさんが怒鳴りながら殴り合ってた時代はもう終わり*2、甘いマスクの外国人選手がハイタッチしながらリングインする時代です。
そんな中でも飛び抜けたビジュアルを持つのがジェイ・ホワイト選手(個人的な感想です)。
プロレス用語でベビーフェイスとは、ヒールレスラーに対する善玉レスラーの事を指しますが、ジェイ選手はヒールでありながら本来の意味の「ベビーフェイス(童顔)」を持つ逸材です。
今では髭をたくわえ、ワイルドに成長してしまいましたが、当時はその童顔をいかんなく発揮したビジュアルを披露してくれています。
立場は真逆でありながら、プロレスのスタイルは噛み合うという不思議な二人の良試合です。
新日本プロレス新旧イケメン対決。ご覧下さい。