El viento que sopla el cielo

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楽しいこと備忘録

【映画】『名探偵コナン 黒鉄の魚影』感想

ハロウィンの花嫁からもう一年経ったの?

 

こわ…

 

 

 

原作もTVシリーズも追わないのに劇場版だけは毎年映画館に観に行く男。

なんと今回は公開初日に観ることに。

 

 

その昔、一度原作を履修しようと頑張ってみたことがあるんですが、登場人物の相関図が想像の10倍ぐらい複雑なので力尽きてしまいました。

 

哀ちゃんのお母さんのお姉さんがメアリー・世良で、その息子である赤井秀一が沖矢昴として新一の家に住んでいるので、従兄同士が

隣に住んでいることになるが、お互いそのことは知らない

 

みたいなのが当たり前みたいにあちこちに存在するの、敷居の低さと居住空間の広さが全然釣り合ってなくて軽くホラーですよ。(全部理解してる人、剛昌先生以外にいるんだろうか…)

 

 

 

まぁそれぐらいの理解度で映画を観た人の感想です。

 

知人の有識者達により『予告にあった「バイバイだね、江戸川コナンくん」っていう哀ちゃんの台詞が、哀ちゃんのお母さんが死に際に言った台詞のオマージュで、哀ちゃんがそのことを知っているはずがないのになぜその台詞を言ったのか?』が解釈違いを起こしかねない最重要ポイントだと聞いていたので注目していました。

 

ちなみに先に大まかに感想を述べておくと、

「大変楽しんだし笑わせてもらったけど、面白かったかと言われると…うーん…」

っていう立ち位置です。

 

www.youtube.com

【以下ネタバレしながらの感想】

 

 

 

 

 

キールの肩を貫通させたのちに標的のこめかみに弾丸を当てるジン、ちゃんと怖くて鋭い悪い人で良かった

 

 

ベルモット灰原哀助けた理由が最後まで明言されずに謎で終わるの、TVシリーズと劇場版が常にリンクして時系列が進んでいくコナンだからこそできる手法だなと思う反面、謎を引っ張るつくりはあまり好みではないのでもうちょっと見せてほしかった「ブローチ譲ってもらった気紛れだったとかでもいい」

 

 

園子が哀ちゃんの善行を目撃して八丈島に連れて行ってあげる展開、園子が一番いい子だった。(そして今作の園子はとても可愛い)

 

 

赤井さん、博士宅の全会話盗聴してるの怖くない…?

 

 

八丈島、背景すごく気合い入ってて綺麗だった。イヤホンさらっと貸す哀ちゃん👏👏👏

 

 

ピンガ蒸留酒→男性の憶測。視聴者へ向けた推理の撹乱でしかなかったけど、老若認証突破する変装が存在する世界観において見た目の性別なんて全くアテにならないと思ってしまう。

 

 

警視庁の船に飛び乗るコナンくん、スクリューに巻き込まれたんじゃないかって思うぐらいギリギリでしがみついててハラハラした。

 

 

パシフィック・ブイの局長が「CV:大川透」って顔をしていたのにCV:大川透じゃなかったことが終始気になった。

 

 

レオンハルトはヨーロッパの警察と色々あったらしいけど、それならヨーロッパを憎むべきなのにめちゃくちゃ日本にヘイト向けてて笑う。

 

 

唐突の田舎チョキ。このハンドサインを知らないってことはフランス人じゃないな?みたいなこと言ってて「この子普段からそうやって周りの人試して情報集めてるの…?こわ…」ってなったけど、そういう子だったわ。怖い。

 

 

ウォッカが映像に映ってた携帯の年代で時代を割り出してだけど、最近松田の携帯書き換えられたりしてたのでそういう思い込みは良くないぞウォッカくん。

 

 

ここからウォッカ有能パート。有能過ぎてウォッカ殺されちゃいそう。安心しきってるけど後ろの3人全員敵なので気をつけてな。

 

 

ウォッカからの電話を受けるジン。停まっている車のハンドルをわざわざ握ってでもくわえタバコを止めない男。(どうでもいいことだけど上記の田舎チョキやら口紅拭く動作やら細かい演出を拾うのがコナンなので、細かいところを気にしながら観るように仕向けておきながら細かいところが気になるのはどうかと思う。このタバコのシーンは別にいいんだけどね)

 

 

「このシステムを使って世界中のカメラから姿を消せば証拠隠滅が楽ですぜ兄貴(幻聴)」みたいなシーンのイメージ図で駅にいるジンウォッカが消えてたけど、一般人にジロジロ見られていて笑った。一応目立っている自覚はあるらしい。あと普通に駅を利用するな。

 

 

老若認証の存在を知りながらも眼鏡の変装があれば大丈夫と哀ちゃんを安心させようとするコナン。もちろんオマージュの意図もあるんだろうけど、あえて眼鏡を交換してまでジンクスに頼りたいコナンの動揺というか「嫌な予感」の演出だったのかなと終わってから思う。

 

 

前情報として毛利探偵事務所の隣の寿司屋の丹下段平みたいなやつが黒の組織のNo.2だって情報を聞いて「そんなキャラの濃いやつが黒の組織にいてたまるか!」って思ってたんですけど、語尾が「ですぜ」のやつと一人称が「あたい」のやつが出てきて「そういや濃いキャラの見本市みたいな組織だったな」って思い出しました。

 

 

ホテルに黒の組織が近づいたことを察知する哀ちゃん。wikiによると『組織に所属していたことがあるかどうかを匂いで判別する能力』があるらしい。怯え過ぎて特殊能力に目覚めちゃってるじゃん。

 

 

寝起きで2階から飛び降りてバトれる蘭、めちゃくちゃ格好良かった。ピンガに勝ちかけるのやべぇな。

 

 

「ぶつけてでも止めたるわい!」キター!ってなったね。

止められないまでもぶつけはするんだろうなと思ったら、まさかぶつけすらできないとは。

 

 

水中に飛び込んでいくウォッカピンガ、着水時に相当な衝撃が首にかかってると思うとちょっと面白い。

 

 

哀ちゃんが拐われたことも十分衝撃的だったけど、それ以上に「仮に哀ちゃんを救出できたとしても、もうあの日常にはもう戻れない」っていう絶望感が凄かった。

 

 

珍しく冷静じゃないコナンくん。怒鳴ってしまったことをのちに佐藤刑事に謝ってたけど、微妙に唐突なタイミングで誤ってたの気になったな。

 

 

ボスの「○○をつぶせ」は何だったんだろうな。パシフィック・ブイのことかと思ったけど作中で正解が示されなかったので、もっと引っ張るべき別の文字が入るんだろうか。

 

 

「ガキ共の面倒は慣れたもんよ」って言える園子、よその子3人面倒見れる女子高生めちゃくちゃすごいよ。本当にいい子。

 

 

ウォッカがちゃんと黒の組織らしい行動をするので、この映画でウォッカ死にかねないなと心配になってたんだけど、本人もその雰囲気を感じ取ったのか後半は魚雷発射管説明おじさんになってて安心した。

 

 

「子供の言葉や行動で人生が変わることもある。私もそうだった」みたいな台詞。とても良かった。

哀ちゃんは最初少年探偵団をただの隠れ蓑としか思っていなかったけど、自分をただの友達として扱ってくれる探偵団と過ごすうちに少しずつ丸くなっていってるのがすごく好きで。

よく笑うようになったし、面倒そうな顔をするわりに探偵団の面倒見が良かったり、居心地が良さそうな空気感が伝わってきてたりするので、そういうことかと思ったらそういう演出ではなかった。誰のことだったんだろう…

 

 

「お待ちしてやした」。バディ組んでる先輩を迎え入れる言葉として0点過ぎる。

 

 

魚雷発射管にいる二人を殺そうとするジン。それっぽい理由で止めようとするキール(わかる)、ウォッカ「一理ありやすぜ」(面白すぎる)

一周回ってウォッカのアクスタ欲しくなってきた。

 

 

今回のMVPは間違いなくキール(おもろ大賞はウォッカ)。水中スクーターを破棄させたのも地味だけどファインプレー。

 

 

レオンハルトを殺してから顔だけ差し替えたディープフェイク映像作るのさすがに無理過ぎると思った。

いくら職員の顔データがあるからといって、警察に死亡推定時刻のズレを感じさせないぐらいの短時間で作るのはさすがに。

 

コナン、世界観がリアル寄りなので勘違いしやすいけど、リアリティラインはドラえもんと大差ないってことは理解してる。

とはいえコナンくんのキック力が~とか、赤井さんの超絶スナイプが~とか、博士の発明が~とかではなく、推理のトリックにまで侵食してくるとなると、シリアスさが欠けるというか、真面目に観ようって気が削がれるのであまり好みではない。

 

 

「ジンもどきのチンピラ」は煽りとして100点。こういうの本当に上手いよね君は。嫌な子供だ。

 

 

安室さんと赤井さんの会話、悪徳業者同士を電話越しに会話させるやつみたいになってて絵面がおもろい。

 

 

最初「大(ダイ)」「バーボン」って呼び合ってるのかと思って混乱したけど「ライ」だった。そりゃそうだ。

んだよ~結局仲良しなのかよ~!

 

 

ベルモットが老若認証を玉手箱に例えて「玉手箱は沈んでなくちゃ」って言ってパシフィック・ブイを沈めようとしたの、さすが黒の組織だなぁって感心した。こういう言い回しができるようにならなきゃなウォッカも。

 

 

パシフィック・ブイにコナンがいることをベルモットは知らなかったのかな。

コナンを助けるためにコナンを殺しかけるの本末転倒だと思うんだけど。

 

 

Q.「悪用しようと思えばいくらでも方法はあるだろうに破壊するのか…」→A.身内の妨害でクソシステムだと誤認して暴れてるだけです

 

 

哀ちゃんが乗った水中バイクのバッテリーが残り少ない理由、最後ゆっくり浮上するための舞台づくりでしかありませんでしたね…

 

 

赤井さんの「沈め!」が思いっきりガンダムだったので、のちのコナン捜索シーンで眼鏡見つけるところがF91のセシリーの花なんだよ!のシーンのオマージュなのかと思っちゃった。割とありそうだな。

 

 

水中人工呼吸、あえてロマンチックな描き方をしないのは悪くない。意識が戻ったコナンにキスした認識が無いのも良い。

 

 

もう日常に戻れないという意味での「バイバイだね、江戸川コナンくん」は、個人的にはナシ。ファンサの域を出てない。これなら予告詐欺で良かった。

 

 

小型酸素ボンベでの間接キス描写。こっちのほうが好き。

好きだけど、これって哀→コは少なくとも異性としての好意が存在するけど、コ→哀に関しては恋愛対象としての意識が毛ほどもないっていう残酷な描写にも見えて、このカップル推してる人はどういう気持ちになるんだろうってのは気になった。

恋愛感情とかそういうのを超越した男女の友情(しかし女は男に淡い恋心を抱いている)が好きかと言われたらそりゃ好きですけど。

 

 

ピンガのメッセージが「ついた」「あけろ」なの、ヤカラの彼氏って感じで良い。あえて連投して通知鳴らしてくる感じも再現度高い。

 

 

今作、間抜けパートは全部ウォッカに丸投げして序盤からかっこいい場面しかなかったジン。最後の最後にビックニュースを持ち帰ろうとしているピンガを爆殺する特大ファインプレーをかましてて爆笑した。それでこそ俺たちの兄貴!!!

BGMのボリュームがここで上がるのも意図的としか考えられなくて本当に最高だった。愛されてるなぁ…

 

 

今更だけどコナンくんの「いっけー!」ってキャプ翼オマージュだよね

 

 

コナンの人工呼吸を手で遮る哀ちゃん、「コナンとのキスは誰にも見られたくない」が出てて良いですねぇ。

 

 

「ちゃんと返したわよ」、あんまり好きくねぇなと思った。

哀ちゃんに「新蘭には割り込みません」って言わせてるように見えてしまった。

そこのカップルが大正義なのは前提として、それでも生まれてしまった哀ちゃんの恋心は実らないのかもしれないけど、決して否定されるべきではないと思う。

 

以前の映画の蘭との人工呼吸の対比とするなら、コナンにその認識があるかないかだけでいいと思うし(した事実は変わらないので)、自身の正体という一番の秘密を共有する唯一の二人だけど、キスしたという情報だけは共有しないというのが良いと思うのにな。

 

きっと哀ちゃんは蘭に、キスした事実すら返したつもりになってると思うし、そうならないと今後のTVシリーズでの哀ちゃんの心境に変化が出てしまうというのも理解はできるけど、「そこまでしないといけないのか…?」って想いがどうしても止められない。

『叶わぬ恋をした少女が、人命救助とはいえ唇を重ねたという事実をひとり胸の中に留めて生きていく』でいいじゃないか。なぜそうさせてくれないのか。

 

 

ピンガが消息不明になったことで黒の組織に正体がバレてないと安心していたけど、コナンの知り得る情報としては、ピンガが死んでいる「だろう」、ジンに伝えていない「だろう」、組織は追ってきていない「だろう」でしかないのに、警戒心が薄すぎると思う。

黒の組織が老若認証の正確性を誤認しているので灰原哀=宮野志保の疑いが晴れたのは良いとして、コナン=新一はコナン本人がピンガに白状した形になっているので、もしそのことをジンに伝えてたら(実際伝える時間はあった)疑われている可能性はあるし、周りに危害が及ぶことを恐れているなら、せめてピンガが消息不明になったと聞くまで米花町には戻れないと思うし、今作の黒の組織の行動力(殺る時は殺る)を見るに、とりあえず家に手榴弾投げ込まれるぐらいの感じはあってもおかしくないのに、のんびりしてるなぁって思っちゃった。

 

まぁコナンくんって黒の組織絡みにしても異様に楽観的というか、「バレねぇって!大丈夫大丈夫!」みたいな感じだし元からそうだと言われればそうだし、コナンがそれだけさっぱりしてるから哀ちゃんの組織へのトラウマさと上手く中和されるんだろうとは思うんですけどね。

 

 

 

総評

 

「開戦!海上頂上決戦(オーシャンバトルロイヤル)!」はやってなくない???

 

パシフィック・ブイにコナン(警察、FBI、公安)と黒の組織が集合して、それぞれの思惑が交差する閉鎖空間モノになると思ってたので、全然違う感じのやつお出しされてびっくりしました。

 

 

あとこれはすごく個人的な感想として、前日に観た『灰原哀物語~黒鉄のミステリートレイン』で、哀ちゃんが言った「この姿で殺されるわけにはいかない!いつも身を呈して私を守ってくれる彼のためにも…!」がすごく刺さっていて。

自分の運命から逃げない=死を安易に選ばなくなった。ではあるものの、自分の命を軽く見積もってしまう部分においてはまだ変わっていないと思っていたので、今回の映画で「誰かのためじゃなく、私が私のために生きていたい!」にまで到達する哀ちゃんが見たかったんですよね…

 

とはいえ悪い映画では無かったとは思います。

例年と比べてインパクトのあるシーンが少なく、起きてる事件は派手なのに記憶に残るカットが無いなとは感じだけど。

 

コナンの映画はツッコミ入れながら観るのが楽しいけど、最初はやっぱり本腰入れて観たい派なんですけど、今回は最初から酒飲みながらやいのやいの言いつつ観るぐらいがちょうど良かったかなと。

 

来年は平次とキッド。騒がしくなりそうで今から楽しみです。


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